プロジェクト概要

| プロジェクト名 | 矢吹町複合施設 kokotto(ココット) |
| 所在地 | 福島県西白河郡矢吹町 |
| 施工年 | 2020年10月 |
| 用途・種別 | 複合施設(公民館・図書館・観光交流・子育て支援の4機能を融合) |
| 対応内容 | インテリアデザイン・サインデザイン(色彩計画・家具計画・オブジェデザインを含む) |
自治体が抱いていた想い
もっとワクワクする、もっと人が集まる施設に
福島県矢吹町からの依頼は、当初は新複合施設のオブジェのデザインだけでした。
しかし、対話を重ねるうちにプロジェクトは広がっていきます。女性の感性を取り入れ、もっとワクワクする、もっと人が集まる施設にしたい。そんな想いから、オブジェだけでなく色彩計画、家具計画、サイン計画にまでドムスデザインが参画することになりました。
kokottoは公民館・図書館・観光交流・子育て支援の4つの機能が融合した施設です。町民、特に若者や学生が「来たい」と思える場所、高齢者がより元気に活動できる場所、子育てを支える場所。世代を超えて愛される施設を、デザインの力でどう実現するかが問われました。
ドムスデザインのアプローチ:図面を引く前にやったこと
特産品と文化をデザイン素材に

矢吹町にはトマトをはじめ、茄子、リンゴ、とうもろこし、かぼちゃ、きゅうりといった特産品があります。ドムスデザインはこれらを単なる装飾モチーフではなく、施設のアイデンティティを形づくる「デザインの素材」として捉えました。町名の「矢吹」にちなんだ矢羽根模様も含め、地域の資源を丁寧に洗い出すことから始めました。
独自の色彩設計

色彩計画では、世界的なSDGsのカラーをそのまま使うのではなく、一度「東北の色」に変換するという独自のアプローチを採りました。日本の伝統色で構成した「矢吹17色」を生み出し、オブジェ・サイン・インテリアすべてに展開。2030年までの達成努力目標に願いを込めながら、世界の平和と矢吹町の平和・豊かさ・繁栄を祈念した色彩をデザインに織り込んでいます。
地元高校生とのワークショップ

オブジェの制作にあたっては、地元高校生とワークショップを開催。若い世代の声をデザインに取り込むことで、町民自身が「自分たちの施設」と感じられるプロセスを大切にしました。制作は、アーティスト小林真理江氏が監修・製作を担当しています。
このように、ドムスデザインでは設計の前に「地域の資源」「色彩の文脈」「町民の声」を徹底的に読み解きます。
いきなり線を引かない。その土地にしかない素材を見つけ出し、デザインの力で施設に命を吹き込むのです。
コンセプト 「デザインで、町民が来たくなる場所をつくる」

公共施設は「用が済んだら帰る場所」になりがちです。目的がなくても足を運びたくなる、来るたびに新しい発見がある。そんな施設は、機能だけでは生まれません。
福島の木材を使った設計案に対して、ドムスデザインが加えたのは「リピートして来館したくなるトキメキ」。色彩、家具、オブジェ、サイン。空間のあらゆる要素に「また来たい」と思わせる仕掛けを散りばめました。
「公民館でも図書館でもない。ここは、町のみんなの居場所」
子どもが走り回りたくなるプレイルーム。ティーンズが図書館好きになるコーナー。大人がゆったりくつろげる椅子。お籠りできるプライベートブース。世代ごとに「自分の場所」がある。それがkokottoの世界観です。
デザインの特徴
1. 町の特産品が出迎えるオブジェ
正面入口には、矢吹町の特産物をモチーフにした大きなハート・トマトのオブジェ。南側の回廊には茄子、リンゴ、とうもろこし、かぼちゃ、きゅうりがゴロゴロと並びます。座れる野菜モチーフのオブジェは、見て楽しい、触れて楽しい、座って休める。アートと機能が一体になったデザインです。
2. SDGsを東北の色に変換した色彩計画「矢吹17色」
SDGsのカラーを日本の伝統色で再構成した「矢吹17色」が、施設全体を彩ります。書架にはおしゃれなアクセントカラー、絵本の読み聞かせコーナーはカラフルに、大人エリアには渋めのカラフルな椅子を。何気ない色の一つひとつに、町の未来への願いが込められています。
3. 世代ごとに「自分の場所」がある図書館廊下
kokottoの目玉は図書館です。大空間に木と色彩で楽しさを演出。キッズエリアは丸いコーナーで遊び心を、ティーンズコーナーは若い世代が図書館好きになるデザインに。大人エリアにはゆったりした椅子、お籠りのプライベートブースには元気が出る色を。お気に入りの椅子で勉強できる大テーブルや、図書館閉館後も使えるスペースなど、思い思いの過ごし方ができる場所をつくりました
4. 子どもも大人も楽しくなるトイレ
男子トイレ、女子トイレ、キッズトイレ、多目的トイレ、すべてに個性を持たせています。女子トイレは顔写りが良いベビーピンク、キッズトイレは遊び心あふれるサインデザイン、男子トイレもおしゃれに。トイレに行くのが楽しみになる、そんな空間です。
5. 矢羽根模様が映える屋台蔵
町名「矢吹」にちなんだ矢羽根模様を取り入れた屋台蔵。地域の文化と施設のデザインが自然に溶け合い、町のアイデンティティを空間の中に息づかせています。
結果・成果
「矢吹町ではないみたい」町の人の声が、すべてを物語る
| 町民の反応 | 「矢吹町ではないみたい」という驚きと喜びの声 |
| 図書館の利用 | 利用時間を延長するほどの反響 |
| 参画範囲の拡大 | オブジェのデザインのみの依頼から、色彩・家具・サイン計画まで拡大 |
当初はオブジェのデザインだけだった依頼が、色彩計画、家具計画、サイン計画へと広がったこと自体が、このプロジェクトの成果を物語っています。
町の人からは「矢吹町ではないみたい」という声が届き、図書館は利用時間を延長するほどの反響。デザインの力が、公共施設を「用事がなくても行きたい場所」に変えた事例です。





















