黒沢病院附属ヘルスパーククリニック

プロジェクト概要

黒澤病院附属ヘルパークリニック外観
プロジェクト名黒沢病院附属ヘルスパーククリニック
所在地群馬県高崎市
施工年2009年
用途・種別総合疾病予防施設(クリニック・温泉施設・人間ドック・宿泊施設・レストラン・スポーツ施設を併設)
対応内容クリニックデザイン

理事長が抱いていた想い

「ディズニーランドのような、健康のためのテーマパークをつくりたい」

高崎市で30年間地域医療に取り組んできた黒澤理事長が、18年間温め続けてきた新棟構想。それは「これからは予防医療の時代」という信念に基づくものでした。

クリニック・温泉施設・人間ドック・宿泊施設・レストラン・スポーツ施設を一つの建物に併設し、これからの時代に必要とされる存在になる。ドムスデザインに求められた課題は、「いかに病院らしさをなくすか」ということ。そして、ホスピタリティ溢れる予防医療施設をデザインし、楽しみながら人間ドックを受診される方を増やしていくことが与えられたテーマでした。

ドムスデザインのアプローチ:図面を引く前にやったこと

ドムスデザインでは、設計図面を引き始める前に徹底的な調査と対話を行います。
このプロジェクトでも、18年間の構想を持つ黒澤理事長のビジョンを深く理解することから始まりました。

構想を受け止める

「健康のためのテーマパーク」という理事長の夢は、単なる医療施設の新築ではありません。予防医療という時代の流れを見据え、「病院に行きたくなる」仕組みをデザインで実現するという壮大な構想でした。ドムスデザインは、この18年間の想いをコンセプトに昇華させるため、理事長との対話を重ねました。

病院らしさをなくす

「病院らしさをなくす」とは、見た目だけの問題ではありません。患者さんが「検査を受けに来る」のではなく「楽しみに来る」と感じる空間づくり。人間ドックの受診を毎年の楽しみに変える仕掛けづくり。この本質に立ち返り、空間・体験・ホスピタリティのすべてを統合的にデザインするアプローチを採りました。

施設での体験を考える

「楽しみながら人間ドックを受診される方を増やしていく」というゴールから逆算し、患者さんの体験全体を一つのストーリーとして組み立てました。検査の待ち時間、廊下の移動、宿泊、食事など、すべての場面が「健康のためのテーマパーク」の一部として機能するよう、空間のつながりとおもてなしの動線に綿密に構想しました。

このように、ドムスデザインでは設計の前に「理事長のビジョン」「施設が果たすべき役割」「患者さんの体験価値」を徹底的に読み解きます。
イタリアで学んだデザイン哲学 「いきなり線を引かない」を実践し、本質的な価値を設計に落とし込みます。

コンセプト 「世界を旅する予防医療施設」

毎年人間ドックを受診してもらうために、どうすれば「来年もまた来たい」と思っていただけるか。その答えとして生まれたのが、「世界を旅する」というコンセプトでした。

「毎年、違う都市を訪れ、来年はどこにしようかな。そんな部屋選びも楽しんでいただけたら、病気の予防、早期発見に繋がるのではないか。なにより患者さんに生きる喜びを味わっていただけるのではないか」

19の宿泊室は、ミラノ・ロンドン・パリ・ニューヨーク・上海・京都など、世界の都市をテーマにインテリアを一部屋ずつ変えて設計。人間ドックの宿泊が「世界旅行」になる ―― 予防医療を「我慢して受けるもの」から「楽しみに変える」逆転の発想です。

デザインの特徴

1. 世界の都市をテーマにした19の宿泊室

ミラノ、ロンドン、パリ、ニューヨーク、上海、京都など宿泊室のインテリアは都市のデザインテーマによって一部屋ずつ変えています。毎年異なる部屋を選ぶ楽しみが、人間ドックの継続受診へのモチベーションとなる設計です。

2. 病院の常識を覆す美術館のような外観

通常、病院は白や淡い色彩が多いところを、あえて濃いグレーの色彩を採用。都市の中で「いかにも病院」という景色ではなく、美術館のような文化を感じる佇まいを基調としています。

3. 待ち時間をアートの時間にする「ギャラリー廊下」

人間ドックの検査を待つ廊下をギャラリーとして設計し、待ち時間にアートを楽しめる空間に。廊下の突き当たりにはアンティーク家具を配置し、サイン計画に至るまで、一つひとつがおもてなしのエンターテイナーとして機能するようデザインしました。

4. イタリア発注のオリジナル家具

家具はイタリアに発注し、オリジナルでデザイン。本物の素材を使用しています。すべては患者さんをおもてなしする「キャスト」として位置づけ、空間を構成するあらゆる要素に役割を持たせています。

5. スタッフのユニフォーム・ホスピタリティ研修

空間だけでなく、そこに居るスタッフのスタンスやスタイルもデザインの一部と捉えました。スタッフ自身が病院コンセプトを体現できるよう、ユニフォームをバージョンアップ。さらに、都内一流ホテルにてのおもてなし研修も実施しています。

結果・成果

地域で一番の健診クリニックに

この取り組みはテレビや雑誌などのメディアに取り上げられ、黒澤理事長は地元テレビの健康コーナーでレギュラーになるなど、活躍の場を広げられました。

メディア露出テレビ・雑誌など多数のメディアに取り上げ
理事長の活躍地元テレビ健康コーナーのレギュラーに
事業の拡大近隣に高齢者専用賃貸住宅(現サービス付き高齢者住宅)をオープン
施設の拡充透析センター増床・ロビーデザインもドムスデザインが担当
人材確保優秀な人材確保にもつながっている

その後、近隣に高齢者専用賃貸住宅(現サービス付き高齢者住宅)もドムスデザインのデザインによりオープン。透析センターも増床し、ロビーデザインをドムスデザインが担当するなど、トータルなデザイン展開と地域密着の予防医療が、黒澤理事長の18年間の構想のもと実現しています。

また、優秀な人材確保にもつながっていることも大きな成果です。デザインの力が、患者さんだけでなく、そこで働くスタッフにとっても誇りとなる環境を生み出しました。

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