Kanagawa ART Clinic(神奈川アートクリニック)

プロジェクト概要

プロジェクト名Kanagawa ART Clinic(神奈川アートクリニック)
所在地神奈川県相模原市
施工年2014年
用途・種別クリニック
対応内容デザイン

クリニックが抱いていた想い

不妊治療に臨む女性を、空間の力で支えたい

不妊治療は、身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。期待と不安が入り混じる待合室、緊張と恐れが伴う採卵室、結果を待つ回復室。クリニックの中で患者さんの感情は刻一刻と変化します。

神奈川ARTクリニックが求めたのは、不妊治療に臨む女性の心を支える空間でした。ただきれいなクリニックではなく、患者さんの気持ちに寄り添い、前向きになれる場所をデザインで実現すること。それがこのプロジェクトの課題です。

ドムスデザインのアプローチ ― 図面を引く前にやったこと

伴走者としてのクリニック

ヒアリングを重ねる中で、ドムスデザインがたどり着いたのは「伴走者」という言葉でした。人生には悩む時がある。そんな時にここに来ると、見えなかった道が見えてくる。一人で走るのに疲れた横を見ると、隣に伴走者がいる。クリニックそのものが、患者さんにとっての伴走者になる。その想いをデザインの方向性として定めました。

五感に訴えるデザイン

不妊治療に臨む女性の緊張や不安は、目に見えるものだけでは解けません。ドムスデザインが設計したのは、五感すべてに訴えかけるデザインです。視覚だけでなく、嗅覚、聴覚、光の質、肌に触れる素材感まで。空間のすべてが患者さんの緊張をほどき、内面を開放し、前向きにさせるデザインを構想しました。

空間の感情を読み解く

クリニック内の各空間で、患者さんの感情はまったく異なります。ドムスデザインはその感情の変化を丁寧に読み解き、それぞれをワインに重ねるという独自のアプローチを採りました。空間ごとに患者さんの感情を言語化し、その感情にふさわしいデザインの方向性を設定する。この「感情設計」が、デザインの土台になっています。

ドムスデザインでは、デザインの前に「五感のデザイン設計」「空間ごとの感情の読み解き」を行います。 いきなり線を引かない。まず、患者さんの心に寄り添う空間の処方箋をつくるのです。

コンセプト 「ここに来ると道が見つかる、女性のためのライフワーククリニック」

不妊治療のクリニックは「通わなければならない場所」になりがちです。期待と不安、喜びと悲しみが交差する場所。しかし、もしクリニックそのものが、患者さんの気持ちに寄り添う存在だったら。

待合室はスプマンテのようなおもてなしで心を開放し、採卵室は白ワインのような清潔感で緊張をほぐし、回復室はロゼワインのような優しさで包む。診察室では赤ワインのような深みと安心感の中で、先生が伴走者として隣にいてくれる。屋上ではデザートワインの余韻のように、次の日への活力を取り戻す。

「一人ではない。横を見ると隣に伴走者がいる。ここに来ると、見えなかった道が見えてくる」

五感に訴える空間が内面を開放し、前向きな気持ちを引き出す。不妊治療のための場所ではなく、女性が新しい生き方を見つける場所。それが神奈川ARTクリニックの世界観です。

デザインの特徴

1. 五感でリラックスを届ける空間

色彩はダークブラウン、ベージュ、黄色、緑、ワインレッドでリラックスする配色に。香りはレモン、ジュニパー、サイプレスで女性をパワーアップさせる処方。音環境で緊張を解きプライバシーを守り、間接照明とキャンドルの炎で光を柔らかく。コットン、レンガ、ウッド、クッションの素材感が「包まれ感」を生み出します。五感のすべてが患者さんの緊張をほどくために設計された空間です。

2. ワインに重ねた7つの空間

待合室はスプマンテ、採卵室は白ワイン、ラボゾーンはハートカクテル、回復室はロゼワイン、後産院はグラッパ、診察室は赤ワイン、屋上はデザートワイン。7つの空間に7種のワインを重ね、それぞれの場で患者さんが感じる感情に寄り添うデザインを施しています。空間ごとに色合い、素材、光の質が変わり、患者さんの感情の変化とともにクリニックの空気も変わっていきます。

3.採卵室の「緊張をほぐす」デザイン

不安と緊張が最も高まる採卵室。白ワインのような清潔感をベースに、緊張をほぐす素材、やさしく暖かい色合いを選定しました。恐れや不安を抱える患者さんの気持ちを、空間がそっと受け止めるデザインです。

4. 屋上リゾートで次の日への活力を

屋上は「余韻を楽しむデザートワイン」。治療のオンからオフへ切り替わり、次の日の活力を取り戻す場所。まるでリゾートにいるかのような空間で、患者さんが自分自身を取り戻す時間を提供しています。

結果・成果

五感のデザイン色・香・音・光・触の5要素で空間を構成
感情に寄り添う空間7つの空間×7種のワインで患者さんの感情の変化に対応
女性のための設計リラックス、開放、前向きになれる空間で不妊治療を支える
伴走者としての空間「一人ではない」と感じられるクリニック体験を実現

「ここに来ると道が見つかる」。五感に訴えるデザインと、ワインに重ねた7つの空間が、不妊治療に臨む女性の心に寄り添うクリニックを生み出しました。ドムスデザインの「オール女性スタッフ」だからこそ実現できた、女性の気持ちの深い理解がデザインに反映された事例です。

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